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第69話 ごめんなさい

Author: みだん
last update publish date: 2026-10-21 16:00:14

国境を越えたのは、翌日の夕刻だった。

馬車は、休むことなく北へ走り続けていた。

追手はなかった。

バルドウィンは、本当に私たちを見送るつもりだったらしい。

それが、かえって不気味だった。

窓の外の景色が、乾いた赤茶けた土から、見慣れた緑へと戻っていく。

帝国の土を踏んだと分かった瞬間、私はようやく、肩の力を抜くことができた。

「――ここまで来れば、ひとまず安全でございましょう」

シェラが、窓の外を確認しながら言った。

「ええ。皆、よく無事で」

私は、馬車の中を見回した。

アルヴィス様、シェラ、そして、向かいの席で毛布にくるまっているネフィリス。

彼は、大聖堂を出てから、一言も口をきいていなかった。

*

その夜、私たちは街道沿いの宿場町に宿を取った。

小さな宿だった。

二階の窓からは、村の灯りがいくつか見えるだけで、あとは暗い田畑が広がっている。

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